後悔、とはどういう意味だろう。
私は黙って功の次の言葉を待った。
「俺の中ではいつまでも可愛い妹みたいに思ってたのに、あの時お前があんまり可愛い顔するから」
初めて言われたお前という言葉にドキッとしてしまう。
「それからどんどん綺麗になってく佐季から、いつの間にか目が離せなくなってた。
好きになったらいけないって、妹みたいな存在だって自分に言い聞かせてた。
だから違う相手を好きになろうともした。けど、佐季の代わりなんて見つけられなかった。
俺の中にはもうとっくに佐季だけだった」
「功、どうしよう。私すごく嬉しい。嬉しくて死んじゃいそうだよ。代わりなんて探したら嫌だ」
涙目で見上げると、功はまた困ったような顔をしてあさっての方を見た。
そして少し考えた後、コツンと額をくっつけて私に言った。
「これから先、佐季が大人になってどんどん視野が広がって。
それでも俺は佐季を手放してやれる自信ないけど。それでも良い?」
それって。
なんとなく意味が分かって、私が笑うと、功は顔を赤くした。
大人だと思ってた功がなんだか可愛く見えて、私はもう一度自分から抱きついて大きく頷いた。
fin.
