結局誰も捕まらず。

仕方なくこの後カテキョの予定のある佐季と真っ直ぐ駅までの道を歩く。


「あー、もうダメ。私今日すごくカラオケの気分だったのに」

「先週みんなで行ったばっかりじゃん。郁はほんと元気だね」

「うん!遊ぶの大好き!友達大好き!私ね、スケジュール帳がびっしり予定で埋まってるの眺めてると幸せ感じる人なの」

「郁らしいね。そんなに暇なら彼氏でも作れば良いのに」

「彼氏?!無理無理。私彼氏はおろかまともに恋すらしたことないもん」

「え、郁…それさすがに笑えないわ」

「へ?」

「郁の誕生日たしか来月だったよね」


佐季が頭を抱える。私の事でそんなに悩んでくれてるなんて、感動しすぎて涙が出そうだ。


「そうだけど。え、もしかしてみんなで祝ってくれるの?やったー」

「ううん。みんなでお祝いはやらないよ」

「えー?!なんでー」


ガーン。まさかのお祝い拒否なんて。本日2度目の化石化。


「佐季!あんた彼氏作りなさい。そして今年の誕生日は彼氏と過ごすの。いい?」

「で、でも」

「でもじゃない、命令。でないと来月の誕生日は1人で過ごす事になるよ」

「それは絶対嫌だ!!」


いきなり過ぎる宣告に焦る事しかできない私。

だって誕生日に1人だなんて寂しすぎるよ。


でも私、恋なんてどうやってするのか分からないんだけど。

第一好きな人すらいないのに。壊滅的だ。