カテキョ以外の日に功が家にいることが嬉しくて、カバンを床に放り出して功の隣に飛んでいく。
読書や勉強の時にだけ掛けるメガネも、目にかかる長い前髪も、さりげないピアスも、全部好き。
そしてここから見る功の横顔が実は一番好き。
あぁ、今日も功は超絶にかっこ良い。
やっぱり高校生なんかとは比べ物にならないくらい大人びている。
「何読んでるの?」
「推理小説だよ。大学の友達に進められて借りたんだ」
「ふーん」
友達って、男かな?女かな?
気になるけど、功に思い女だと思われたくないから聞きたくても聞けない。
功から恋愛がらみの話って聞いたことないから、たぶん彼女はいないって期待しちゃってるんだけどな。
功への気持ちに気付いたのは去年の夏頃。
成績が上がってすごく褒められて、その時に頭を撫でてくれたあの時の手が忘れられないから。
きっと功にとったら何でもないことだったのかもしれないけど。
私はあの時の手がすごく嬉しかったから。
だからこの間、勇気をだしてお願いしたんだ。テストでまた良い点取れたら、頭撫でてくれる?って。
そしたら「じゃあつぎの期末で20番以内に入ったらな」って約束してくれた。
正直可能性は低いけど、何より功をがっかりさせたくない。
私は寝る間も惜しんで勉強した。
