次の日いつもより遅めに家を出たあたし。
もう遅刻は確定だったから、当然伊緒の姿はない。
それでも駅に着くまでに何度も伊緒の姿を探してしまうあたしは重症だろうか。
電車に乗ると、同じクラスの葵の姿を見つけた。
「あれ、結芽じゃん。珍しいね、この時間に電車で会うの」
「葵こそ、もう遅刻だよ」
とっくにラッシュの過ぎた車内はガラガラで、あたしは葵の隣に座った。
「俺はいーの。つーかどした?元気ない?」
「それが最近彼氏が冷たくてねー。ちょっと分かんなくなってるとこ」
「へーえ。じゃあさ、俺と一緒に合コンでも行く?」
「合コン?」
「って言っても大人数でメシ食うだけだから気軽なやつなんだけどね。今度の土曜なんだけど、どうする?行く?」
あたしは少し考えた後、二つ返事で「行く」と伝えた。
遊ぶだけだもん。少しくらい良いよね。
それに、伊緒はきっとあたしの心配なんかしないよ。
