君の幸せを



「……藍、寝れない?」



晴翔と逆の方向を向いて
抱きしめられた状態で携帯をいじっていたら晴翔が耳元で小さな声で囁いた。


この家には晴翔と私しかいない。

晴翔は一人暮らしをしているから、いつも1人だ。

私がいなければずっと暗闇でひとりぼっち。


インドア派だから仕事がない日もいつも家の中で1人。



そんな彼を救いたくて、傍にいる。
なのに今の私はただのクズだ。



ただ私が傍にいたいだけ。

その理由で彼は十分だと言った。



『藍が泊まりたければ泊まればいい。傍にいていいよ。迷惑なんて何もない。1人じゃないだけいいよ』



嬉しかった。


嬉しいはずなのにひっかかった。



『1人じゃないだけいい』

それなら私じゃなくてもいいんだ。


わがままな私はそう解釈した。


だけど言わなかった。
今は晴翔の傍に居られること、
それだけでも幸せだったから。