両手いっぱいの花束をあなたに




「キャーッ!!」

「颯くん、ナイスシュートっ!!」

「タオルこれ使ってっー!」


それに、体育館から聞こえる、この歓声。

つい最近まで颯を知らなかった私より、ファンの子の方がずっと颯の事を知ってるんじゃないかな…。


颯のファンに、私は引け目を感じて、なお足がすくむ。


「颯くんの彼女は花音なの、もっと自信もって」

「うん…」


半ば、美緒に引きずられながら体育館へ入ると、ちょうど模擬戦をしていたのか、颯がドリブルをしながら走っているのが見えた。


「颯、行けー!!」

「ウッス!!」


先輩に煽られ、颯の速度が上がっていく。

まるで、疾風のように相手の隙間を駆け抜けて、ついにゴールへとたどり着く。