「うん。大切な人の、大事な言葉を聞き届けなきゃいけないから」


「……そう、花音、良い顔してるね」 


「え……?」



美緒は、私の顔を優しい眼差しで見つめて笑う。


自分の顔なんて、見えないから分からないけど…そっか、私、良い顔で笑えてるのかな。


「颯くんに出会う前の花音は、花にしか興味がなくて、私たち以外の人とは話さなかったじゃない?」


「あ……本当だね」


自分でも驚いた。


私、美緒やつっくん以外に友達がほしいとは思ってなくて、いつの間にか自分で世界を狭めて……。


考えてみれば、自分から誰かに話しかけたのは、あの入学式の日、迷ってた颯に声をかけたのが始まりだ。



「それが、いつの間にか颯くんを通して、色んな人と話すようになってる。今の花音、すごく楽しそうだよ」


「へへっ……美緒、私ね。今の自分は、わりと気に入ってるんだ」


「俺も、花音が笑顔だと、安心する。これからは、颯くんにもっと笑顔にしてもらう事だ」


「つっくん……」


この双子は、私の心の中を見透したみたいに、欲しい言葉をくれる。


「2人は、大切な親友だよ」


「「分かってる」」


そんなとこばかりハモる2人が、たまらなく大切だなと、改めて感じた。