「颯??」 「っ、何でも無い………」 何でも無いと言いながら、颯は私を離そうとはしなかった。 颯……? なんだか、声が不安そうだったのは、気のせい? 「うちの期待の星が、まさか可愛い彼女にデレデレとはな」 「颯くんはエースなんだっけ?」 美緒の言葉に、篠田くんは「チッ、チッ、チッー」と舌をならして、二ッと笑う。 「エースどころか、国体選手のスカウトまで受けてるぜ」 「え、ええっ!?」 篠田くんの言葉に、私は颯を振り返る。 すると、颯は苦笑いを浮かべた。