俺だけを見てろ

屋上に着くとすぐに寝転がった。
あるはずの青い空は濁った灰色の雲に覆われて俺の心を現しているような気がした。

「………………………」

制服のポケットからスマホを取り出して紘にメールを打った。

“弁当、今までありがとう。
すごく美味しかった。
でも、もう大丈夫だから”

「もう、大丈夫だから………………」

“もう、図書室には行かない。
急にごめん、今までありがとう”

もし、俺がたくさん恋を重ねてたら紘を奪ってやる!とか言えたのかな。
……………もし、紘が翼っていう男といた方が幸せなら俺は紘の前から消えたほうがいい。