俺だけを見てろ

〜男の影〜

「なぁー将生ー」
『なんだよ』

俺と姉ちゃんのツーショットポスターが街に出回ってしばらくした頃、仕事の帰りに姉ちゃんの愚痴を将生こぼしながら帰っていると反対側の歩道に見覚えのある人影を見つけた。

「…………あれ?」
『どーした?』
「………………いや、なんでもない」

紘がいたような気がしたんだけど………。

『で?真希さんがどーしたんだよ』
「あー、それでさ」

この時間………夜遅くに紘がいるわけない。
気のせいだよな?

「…………姉ちゃんがさ」