「はぁ……もう、朝から遅刻するわ、怒られるわ、廊下に立たされるわ、もー疲れた!」
「まだ1時間目が終わったばっかだぞ。俺の大好きな彼女は一時間目が終わっただけでへばるようなババァだったっけー?」
カチン!あったまにきたぁ!
「別に疲れてないもん!フンッだ!」
「またまたつよぶっちゃってー。最近ツンデレだなぁー。俺の大好き彼女さんは。」
うぅ……すみません……。
「おぉ!またまた10分休みでもいちゃついちゃってー!もーやらしっ!」
「ちょっとあすかぁ……そういうこと言うと誤解されるって!!」
「瀬戸内明日香」は私の小学校からの親友!最近たまにこうやっていじってくるんだよねぇ……
「あすか!空気読め!あのラブラブオーラの中に割り込むとは、本当にKYだったのか!」
「っな!!誰がKYじゃ!おらぁ!」
明日香……また内野部君と喧嘩してる…
内野部君とは、名前は「内野部弘祐」。
あぁ見えて明日香と内野部君は1週間前にできたできたてほやほやのカップルなんだよぉ!………って明日香だってラブラブじゃん!人のこと言えないじゃん!もぉ~!
「おーい。Wラブラブカップルさんたちよぉ~。もうそろそろ10分休み終わるぞー。」
「っな!!」
言い返そうとしたけれど、10分休みの時間があと1分で終わってしまうので言い返すのをやめた。
そして放課後。
「明日香~。今日ね!駅前のクレープ屋の新作の発売日だよ!一緒に行ける?」
「え…………あーーえーーっと……ごめん!今日無理なの!じ……実は………」
「あ……明日香!は……早く行かねーと帰る時間遅くなるぞ!遅くなると不審者とかがよくいるから、あ……あぶねーから!早くいこ?な?」
お?あれは内野部君!お?お?お?!
まさかのぉーー?
「明日香!ガンバ!!」
「う…うん!また今度新作のクレープ食べいこ!また明日!」
「またねぇー!」
ガラガラ
ふぅ。明日香がデートかぁ~。

…………………………いいな。
なんて!か……考えちゃったり考え無かったり……はぁ…………最近デートしてないなぁ~。
やっぱり羨ましいよぅ…。
「へぇ~。俺とデートしたいんだ。」
「へ?えぇぇぇぇぇ!こ……心の中で考えてたこと声に出てた?」
「あぁ。まるぎこえでこっちまで恥ずかしかったわ。」
翔が照れながら頭をかいた。
「…………行く?デート………」
「え………うん。行きたい!」
「よし!決ま……」
ピロピロピロピロピロピロピロピロ
「あ!ごめん!ママから電話だ!ちょっと待ってね。」
「……!お…………おう。」
「もしもし?ママなぁに?」
『……ゆり、ちょっと大事な話があるからすぐ帰ってきてくれる?』
「え…………で……でも…っ!」
『……もしかして、有澤君とデートだった?』
かぁっっっ!
急に顔が暑く!
うぅ…………ママから言われると少し恥ずかしい……
「う……うん。一応……デ…デートしよ?って話になってるよ。」
こう言うと急に翔の顔が凄い赤くなってる。
こ……こっちも恥ずかしいよ!
『………ごめん……お願い……すぐ帰ってきてくれるかな?心の準備とかがいると思うからできるだけ早く話したいの……』
「………うん……」
ブーブーブーブー(通話を終了しました)
「お母さんなんだって?」
「なんか、心の準備とかがいると思うからできるだけ早く話したいのって悲しそうな声で言われてつい、頷いちゃった……」
うぅ……………大好きな翔ともデートができないなんて、やっぱり今日はついてない。
「じゃあ、また今度、デートしよ?ね?大丈夫だよ!ね?」
そんな悲しそうな声で大丈夫だよ!なんて言われても、もっと不安になる。
「うん。大丈夫だよ……ね…?じゃあ、また明日ね?」
「家まで送ろうか?危ないし。」
「ううん。いいよ。家反対方向じゃん。」
「そう……わかった。じゃあまた明日。じゃあね。」
「うん。また明日」
校門を出て「じゃあね」といって私たちは家に帰った。

家に着くと、いつも出張でいないパパが帰ってきてる。
これはかなりの重大な話っぽい。
離婚とかは、まずない。
パパとママが喧嘩してるところなんて見たことない。
………てことはなんだ?
わからん…………。
「………………ごめんね。」
「え?」
そんな急に謝られても意味がさらにわからなくなった。
もーーチンプンカンプンだよぉー。
訳かわからん…という顔を見てパパがやっと事情を話してくれ……え…………?
「ちょっと待って。今、なんて言ったの?」
「……………実は急な仕事の転勤が決まってな………ここは長野県…………仕事の転勤場所が大阪なんだ……………すまない…………転勤の都合で引っ越しすることになった………」
え?えぇぇぇぇぇ!