「真理子さんチってどこなんだ?」 拓海の甘く艶のある声が、深夜の池袋西口に響く。 五駅ほど乗りつなぎ雑踏を駆け抜けると、すぐに真理子のマンションが林の中から顔を見せた。 もう月も高い。 雲がかったうっすらとした月光が二人を地表に照らしだす。 「五階でいいんだな?」 拓海の淡々とした振る舞いに、真理子は 一抹の寂しさを感じた。