「ねぇ拓海くん飲もうよ!私達拓海くんが目当てで来たんだからさ!」 数十人が畳の上で転げたり叫んだりしているこの飲み会で、一番のハンサムが 黙っているのはどうかと言う訳だ。 「俺は気が乗らねぇんだ…」 拓海はその涼しげな瞳を尖らせ、ただ黙々と酒をあおった。 まるで自分をいたぶっているかの様だった。 目の下にはうっすらとクマが潜み、心なしか痩せこけて見えた。