(まずい―) 不覚にもここはプールの死角であり、人もなかなか通らないような煤けた場所である。 (私が叔父から教わった奥義を繰り出してもいいけど、ム所に15年は入れられてしまう…) じーは何を繰り出さんとしているのかは謎だが、とにかく万事休すであった。 「なぁさやか!」 無理やりさやかの細い手首を掴むその男。 「やめ…」 「ちょいと待ちぃな」