「ちょっと、ハンカチ貸して」

「はい?」


赤く滲んだ部分を水道で洗い流している。


「先生!いいですよ!家で洗いますから……」

「ダメ。取れなくなったら、可愛いハンカチが台無しだろ」


先生の優しさは分かる。


でも、我慢して見つめてるのって結構辛い……。


……ダメだ。


もう耐え切れない……。


これでも……かなり踏ん張った方だよ。


「……山田先生さようなら」


鞄を持って挨拶をする。


「まだ居てもいいんじゃないか?帰る時間までもう少しあるし」


分かってよ……。


「いえ、今日はこれで帰ります」


なんか泣きそう。