チャイムが鳴ると、ドアが静かに開いた。


そして『失礼します』と言う声は、また可愛らしい声で。


「山田先生……絆創膏を一枚もらってもいいですか?」


保健室に来たのは由花だった。


「おいおい!今度はどこを怪我したんだよっ」


先生はクスクス笑いながら、絆創膏を引き出しから取り出している。


この空気に、私はやっぱり慣れない。


「手を紙で切っちゃって……」


指に巻いてる白いハンカチが、赤く滲んでいた。


「由花、気をつけないとダメだろ?」

「……すいません」


また由花の手に先生の手が触れる。


ふと自分の足元に視線を変えていた。


あれ……?

まただ。


由花と先生が楽しそうにしてるだけで、胸が苦しくなる痛み。


恋に初心者の私でも分かる。


二人に嫉妬してるんだよね……。


でもこれは、どんな薬を飲んだって治らない症状。


今だけ我慢すれば済むことだし?


平気……だよ。