「………………仁……にぃ…」
その声は、今にも消え入りそうな声で…耳を澄ませないと聞こえないような小さな声だった。
「……っ!!
いま、なんて…?」
「仁……にぃ」
「……………っ!!
久しぶりだな……っ!!。その呼び方
もう………呼んでくれないかと思った…。
こっちにおいで」
仁は声を震わせながら恋に呼び掛けた。
恋はひょこひょこと歩き…仁の隣に座った
「仁にぃ…仁にぃ」
「なんだ?」
「仁にぃ…仁にぃ」
「子供の頃みたいだな」
「……子供…の……頃?」
「あぁ。子供の頃、泣きだしたら仁にぃ、仁にぃって言うけどその先は言わないんだよ」
仁はそう言いながら、優しく恋の頭を撫でた。
「……仁にぃ
ごめん………ありがとう」
「恋?」
「…………スゥ…スゥ…スゥ」
「寝ちゃったよ
……ハァ。仕方ないな」
仁は店員を呼び、席で会計を済ませると…恋が起きないようにゆっくりと車に運んだ。

