「はいっ、後二周!」


僕の通っている障害者支援施設。そこの機能訓練の先生が、僕の背後からそう声を掛けた。

リハビリの為4キロの重りが乗った箱を抱えて、息も絶え絶えながらなんとかノルマをこなす僕に、先生は拍手して迎えてくれた。


「よく出来ました~!最後『ワン』って鳴いてたらもっと良かったけど、いや十分十分!」


…犬?

訝る僕を置いといて、次のメニューに移る。

陽気なこの先生の名は伊達(だて)さん。

伊達さんはそこの施設のリハビリ師で、僕が通所してからずっと世話になっている。

関西出身だからか、会話の中にたまにギャグを織り混ぜてくるのが、僕の伊達さんに対する親近感を深めさせていた。

──伊達さんのリハビリは今でも続いている。

僕がどんな状況でも、変わらずに接してくれる精神には、感服すると共に感謝も感じている。

支援施設に通い続けた理由の一つに、"伊達さんがいるから"という理由も入っているだろうと、改めて思う。