「あの…その…」


モジモジしている由衣を見て、拓人は前言撤回するように、調子良くまた心臓が大きく鼓動を始めた。


「…さっきの、続き、…いいかな?」


コクリ、と格好良く頷く拓人は、内心では飛び跳ねていた。


"キました!キテますキテます!"


某マジシャンも、拓人の内心で叫び散らす。
由衣が持っていたダンボールを置き、拓人にゆっくりと近付く。そして目を閉じた。

…あぁ、僕はこの瞬間を待っていたのかも知れない。

由衣の、赤らんでいる顔が…緊張からか少し震えている身体が、愛しい。


由衣の、全てが、欲しい。


拓人はゆっくりと、再び顔を近付けていった。