ピンポーン
簡素な作りのチャイムを押す。中から「はーい」という声と共にパタパタ走ってくる音が扉越しに聞こえ──
「拓人君!いらっしゃい」
ドアに手をかけながら、由衣が笑顔で出迎えてくれた。
「や、やぁ…あの、お、お邪魔します…」
「フフッ、な~にそんなに緊張してんの。とりあえず『就活は置いとく』んでしょ?面接じゃないんだから。ほら、上がって上がって!」
由衣に招かれるまま入った部屋は、キッチンとダイニングが一緒になっている部屋で、真ん中には四角形のテーブルにこたつが敷いてあり、拓人はそこを勧められ、腰掛けた。
部屋の間取りは2DK。一人暮らしには十分な間取り。今座っている位置から確認できるもの。まずこたつテーブル。白のタンス。隅にあるラックには様々な物が収納されている。その中にあるアロマだろうか。アロマの香りが微かに鼻孔をくす──
「拓人君、一応出来たんだけど、こんな感じでいいかな?」

