「──そうだったの?ホントに~?だってあたしから呼び出したので、予測つくでしょ」
由衣の憎らしい笑みの混じった質問に、的を得られた拓人はムキになって答えた。
「そんな事ないよ!まぁ全くなかった、とは言えないけど、僕は初めて由衣に告白するような、初々しい気持ちで──」
途中で由衣の静かな笑い声が聞こえて、拓人は怪訝な表情になった。
「──フフフッ、可愛い所もあるんだね、拓人君って」
微笑を浮かべ、由衣は続ける。
「ごめん、ちょっと意地悪しただけ。…でも、そんな気持ちになったあたしも理解してね」
?
まさしくクエスチョンマークを浮かべた顔をしてると、由衣は言った。
「そんな事どうでもいいじゃない?拓人君から告白しようが、あたしから告白しようが…」
由衣の顔にほんのりと赤みが差した。
「…大切なのは、今、お互いがお互いをどう思ってるか、でしょ?」
…冬には珍しく快晴となった空。
木漏れ日の下で互いに想い合う男女。
由衣の言うように、付き合えた男女において、その過程は重要度が減る。
「──あたしは、今も拓人君が、好きだよ」
またも恥ずかしさから顔を真っ赤にして言う由衣。何度見ても慣れない拓人は、同じような真っ赤な顔で、その言葉を受け取った。
由衣の言葉は、冬の寒風に流されて、消えてしまいそうなほど、小さかった。
…だが、拓人ははっきりと聞き取った。
そして、由衣の言葉に、想いに、答えた。
「…僕も、由衣が好きだ」
照れながらこぼす二人を、燦々と輝く太陽がこっそりと見守ってくれていた。

