自分の恋愛感情を、上手に引き出せない。

拓人は、大しているわけではない過去の"元カノ"達を思い出した。

皆表現は様々だったが、コテンと拓人の肩に頭を乗せるシーンが、共通してあった。

その度に拓人は思うのだ。
"僕はそんな全てを受け入れられる人間じゃない"と。

弱気に拍車がかかったような感情は、相手がそうしてきてくれた時に毎回訪れ、拓人の自尊心は擦りきれそうな程、ストックが減っていった。

由衣もそうなのかな、と思っていたら、由衣は恥ずかしさで俯くだけで、拓人との距離を縮めようと言う気は全く感じられなかった。


少し寂しい気がした(おい)が、僕らはこれでいいのかも知れない、と思い直した。

付き合って何年、最早結婚という段階にいるカップルがそんな風じゃ不安しかないが、拓人と由衣はまだ付き合って2~3ヶ月だ。