で、さっきのような事を神様にお願いされていた拓人だが、正直就活中は今のままでいいんじゃないか、とある種の締観を抱いていた。
「──…あと…」
由衣が顔を赤くして俯いた。
「…拓人君と、これからも一緒に、いられますように…って…」
由衣の赤面が拓人にも伝染した。
「…そんな沢山の願い、神様叶えてくれるかなぁ」
恥ずかしさを隠すように前を向きながら、そう答えた拓人だが、その耐性を由衣は既に心得ていたのか、
「…じゃあ、最後の願いだけにする」
と言って、立ち上がった。
「…どこ行くの?」
「トイレ」
そう残し、由衣は足早に社へと入ってゆく。しかし、髪を上げているので覗く、由衣の後ろの首筋が赤くなっているのを見て、やっぱり恥ずかしかったんだな…と思った。

