障害者支援施設にも通い始め、そこで週に一日だけ機能訓練としてそこのリハビリ施設に通っていた。

そこに入所している人や、利用者は高齢者が多いのだが、職員は逆に若い人が多かった。
そんな人達にとって、僕のような年齢で通っている人は珍しいらしく、色々声をかけてもらった。

それも最初の内だけで、まともに話せない僕との会話が続くはずもなく、しばらくすると"一人黙々とリハビリを続ける真面目な人"が出来上がった。

僕に残されていたのは、"会話する事"が困難となったから、目の前にあるリハビリ器具と…"何も会話をしなくていい、物"と向き合う事で、人との会話を避け続ける事だった。

…またも自己憐憫をぶら下げながら。


「──はじめまちてっ!」


僕がリハビリの一環として施設内を徒歩で回っていて、施設の玄関前まで来た時、玄関脇にある事務室へのカウンターに精一杯伸ばした両手だけ乗せて、挨拶している女児を見た。


「あらあらどうちたの~?」


日勤の事務員がカウンターの奥から身を乗り出して、あやすような声で尋ねていた。