「榊原さん、すごいデコめーションですよ!この端のキャラくター、榊原さんをイめージしたそうですよ!」


所々妙な言葉遣いをしているが、このセンターで一番元気よく物事をこなしている利用者が、僕に嬉しそうに話しかけてきた。


「あ゛ぁ、ぞ う み だ い゛で ず ね」


それから職員の方を向いて、頭を下げる僕。感謝はあったが、それより『めんどくさい事してるな』と思う気持ちの方が大きかった。

どんな事があっても、マイナスから。そこから入る道しか知らなかった 。

周りの喧騒の中で、よく"独り"になる感覚に陥った。
こんな感覚は病気になってからよく抱くようになっていた。

周りでは利用者、職員が楽しそうにケーキをデコレーションしている。

…そんな中、毎回思う。

──病気になった僕は、すごい不幸な人間だ。何千人に一人の病気になった僕は、オマエラの障害とはワケが違うんだ──


…邪悪な心が産み出した"マイナスの自分"は、人と接触する度に、そういった自己憐憫を心の縁に常に潜ませていた。