退院して、まずはお見舞い返しだった。

退院後も家に来てくれた人にお見舞い返し。会う機会が中々取れない人には、母親の運転でその人達の家を廻って、お見舞い返し。


そして、色々な施設を巡る日々が始まった。


入院していた所には退院後も週に三回、通院する形になり、その他の日にも別の所でのリハビリを受ける事にした。


割と自宅から近いというのもあり、新しくリハビリセンターに通うようにもなった。


リハビリ、リハビリ、リハビリ……


僕のその時の状況を考えたら当然の事なのかも知れないが、僕は新しいリハビリを淡々と受け続けていた。その背景には、色々な所を駆け回ってくれていた両親の姿があった。

20歳越えて、両親にまだ迷惑をかけている自分は、情けない限りだ…


…とは思わなかった。


その時の僕には、何よりも優先して考えなきゃならない事があったのだ。

"彼女がいた"、かも。はっきりとしない記憶にすがり付くように生きていた僕。

それを"言い訳"にして、その時の幼児のような状況を甘受していたのだろうと、今は思う。