「じゃあ試しに外歩いて見よっか!」


リハビリ師の言葉に、僕は頷く事で意思表示した。

僕は、この時の先生には、物凄く感謝している。

"歩ける見込みは薄いだろう"と思われていた僕を、今じゃ車椅子も、杖も無しに歩けるようになったのは、この先生のおかげだと思っている。

ここに転院して、退院するまで面倒を見てくれた先生に、遅くなってしまったが、今、改めて感謝します。ありがとうございます。


もうすぐ退院、との情報はリハビリ師にも伝わってるのか、いつもよりもさらに暖かな視線を感じた。


だが、同室に入院している人に、母親が退院の話をすると、

『榊原君みたいなのが退院して、放り出されるのは信じられない』

と、言われたらしい。


やはり、僕の障害はよっぽどひどく見られているようだ。
おそらく話し方のせいだろう…

だが、母親からしてみれば、ここまで良くなってくれただけでも、嬉しい限り、だそうだ。

今後も止まらず、どんどん戻ってほしい。


先生に榊原君の回復は早いといわれ、当人もびっくりするくらいで、それが励みにもなっている気がする。


退院まであとわずか、今より明日、もっと進歩しますように…


"母親の日記" 引用