退院の日程が決まり、"その日までに~を動かせるようにしよう!"と目標が明確化した。

相変わらず訪れてくれる友達もいた。

毎日のリハビリを続ける中で、僕の中に一瞬生じた違和感は、退院する日が決まり、リハビリにも気合いの入れようが変わった日々により、どんどん小さくなっていき消えてしまいそうだった。


病院内で夕食をとっている時、隣にいる母親が僕にこっそりと言った。


「拓が入院してる同時期に、同年代の子が数人、別々に入院したらしいよ」


20歳前後の子が、三、四人入院してるのは、かなり珍しい事らしいよ、と母親は続ける。

確かに、リハビリに向かう途中、お年寄りだけではなく、僕と近い年齢の人とすれ違う事もあった。

そうなんだ、と、あまり興味を示さずに頷いた僕は、イーターニーター(自分で食べるための補助具)で夕食を食べるのを続けた。