無言の時間が続いた。
久々だから話したい、という欲求があったが、自分から話しかけるのは恥ずかしい。
しかし、話しかけなければこのまま時間が過ぎ去ってしまう。
かといって、何を話せばいいんだ?
シューカツの事か?最近どう?シュミは?とか?…違う!シュミじゃなくてシューカツ!…シュミは映画鑑賞です…ってバカ!だからシュミじゃなくて…──
「…最近どう?」
一人悶々としていると、由衣が質問してきた。
「シュミは映画鑑賞です!」
…言った後、自分が何を言ってるのか意味不明になった。
一瞬クエスチョンを浮かべた表情の由衣だったが、すぐにクスクス笑いだした。
「…あ!あぁごめん!いや、至って変わりなく…」
「なに?もう面接の練習?」
笑いながらそう言う由衣を見て、今夏のバイトの思い出がブワッと沸き出す。その思い出の一つ一つが、キラキラと宙に舞う結晶のように拓人に良い刺激をもたらせた。
「あたしも今就活に追われててさぁ、今日は休息日」
バイトが休息ってのもおかしな話だけど、と由衣が笑った。

