就職活動が始まると、大学にいる三年生の姿は殆ど見れなくなる。四年生も卒論に追われているため同じく。変わりに勉学2割夜の勉学8割に集中する二年生と、受験勉強から解放され、これまた遊ぶ事に意欲をシフトチェンジした一年生の姿のみが、天下は我らにありとばかりに大学内を闊歩しているのが見てとれる。


そんな中、日々の就職活動に『満足感』を得られない拓人は、同種族の少なくなった大学で、隅のベンチに追いやられたように座り、今週末にある企業説明会のプリントを流し読みしていた。


「──就活ってどうもやる気出ねぇよな。婚カツなら別なのになぁ」


横にドカリと腰掛ける気配があった。
顔を向けると、定番となっているニヒルな笑みを浮かべる中の姿があった。


「…同じく。皆しっかりとした目標みたいの持ってて、自分が凄い矮小な人間に思えるよ」
「俺も俺も。今のバイト先に就職することも考えといた方がいいかもな」


中は冗談でいったのだろうが、拓人の頭には思い浮かぶものがあって、それが少し顔を紅潮させた。