皆の暖かさが、染みる。僕は確かに、あの場所にいた。自分の存在意義を、見出だせた。
…と言っても、その時の僕は、寄せ書きを見ても何も感じなかった。
皆ただの日記張かなにかを書いてるのだろうと思っていた。
なっちの交換日記のような長文、皆の一言一言が、知らず知らずの内に、その時の僕の"活力"になっていたんだろうと思う。
後に母親から、僕と似た年の人が、僕と同じような病気で、同じタイミングで入院する事になったが、その人は亡くなってしまった、と聞いた。
その人にも僕と同じように、人生があった。仲良くしていた友人達もいただろう。
それが、急に人生の幕が、病気により下ろされる。
皆の寄せ書きを見た時、その話を聞いた時の恐怖が鮮明に思い出される。と同時に、僕には『今』があってよかった、と心から思うのだ。
皆の記憶に残るのは、いい事なのかも知れない。だけど記憶はそこで終わって欲しくない。"これから"を、皆と一緒に描いて行きたい。
僕たちは過去ではなく、これからという未来。
今を"生きて"いくという事。
それが、僕たちの使命なのかも。
…今はそう思う。
だが、僕には皆の他にも考えなくてはならない事があったはず。
もやもやした思考のまま、僕は考えるべき事とどうでもいい事の境界線が、不鮮明になっていたとの印象が残っていた。

