「──お前寄せ書き見てるか?なっちすげぇ書いてくれてんぞ」


リクライニングベッドに背を預ける僕と、ちゃちな椅子に座るたっちゃんとりゅーじと会話していると、りゅーじが思い出したように言った。


「?」


声を出す事が億劫な僕は、首だけで返答する。


「なっちはやっぱ女の子だなぁって再確認するよ。後で見とけよ」


会話の中の一部として残された言葉は、ほとんど会話の内容を覚えてない僕でも、それは覚えていた。


名坂 史恵(なさか ふみえ あだ名「なっち」)は僕らの大学の同級生で、いつも元気溢れる姿を見せていた。非常に友好的な性格で、大学では男も女も関係なく、なっちと仲良く過ごしていた。

そんななっちは、僕が病気になった時、よくお見舞いに来てくれていた。そんな時、書いてくれていた寄せ書きの事を、僕はすっかり失念していたのだ。