そこで拓人は気になっていた事を桑田さん(さっき聞いた)に質問した。
「あの…さっきの女の子は…」
「あ~ゆいの事?僕の親戚の娘なんだよ!小っちゃい頃から面識あってね~今大学三年生くらいだったかな?でもここでのバイトはもう五年になるよ!長いよね!確か好きな食べ物は海鮮パスタ!で、好きな映画は──」
余計な事まで話し続ける桑田さんに相槌を打ちつつ、僕と同学年か…と思っていた。
「──で、いつから入れる?こっちとしては早めに入ってもらいたいとこだけど」
桑田さんの言葉に目を丸くする拓人。
「…え、入れるか…って…」
「あぁ合格だよ合格!ウチの面接なんてカタチだけ!履歴書なんてあってないようなモン!」
驚愕した。そしてそのすぐ後に感謝の気持ちが押し寄せた。
こんなに簡単に雇ってもらえるなんて…
桑田さんが後光の指した観音様に見えた。

