拓人は今、求職中だった。
夜中に遊び歩くには金がいる、その金を手に入れるには働くしかない、要はバイトをするしかない。
先月まで働いていたバイト先の居酒屋はクビになったのだった。
あるカップル客で頭が照明に照らされ眩しさを見せる男性がいたのだが、どうやらその男性の誕生日だったらしく、高価そうなブレスレットを相手から渡され、男性は誇らしげにそれを腕に巻いていた。その客に呼ばれた拓人は、一部始終を見ていたが、その"光るブレスレット"よりも"光るおでこ"に注目してしまい、顔の上部を見ながら『光輝いてますね』と開口一番に言ってしまい、客がハゲしく怒り出し、それからなんやかんやでその居酒屋をクビになってしまった。
…そしてタウンワークと生活を共にしている訳だ。
大学の構内の食堂で、一人にらめっこを続けていた。
「…バイト探してんの?」
その声に、顔を上げる。

