結局二次会のカラオケでも飲み放題で、完全にでき上がった拓人は、友人のカズヒロに肩を支えられての退店となった。


「今度いつ会える~?タクヤくん!」


時刻は午前二時、草木も眠るこの時間帯に、今だ元気なユイちゃんから質問があった。

本来嬉しい質問だが、ユイちゃんの本性をうかがい知った拓人は、酔いもあってこう答えた。


「ん~タクヤくんはSMAPの撮影で忙しいから、あんまり会えそうにないかも!だからわかんないな~」


ユイちゃんはその言葉の意味を暫く俊巡していた様だが、どうでもよくなったのか「わかった~バイバーイ」と残し、友達と去っていった。


「……お前、ユイちゃん逃したぞ。あとで後悔するパターンだな」


拓人の肩を支えてくれているカズヒロがそう言いつつ、去っていく女の子達を見る。


「…いいんだよ。それにあの子『タクヤ』と勘違いしてた。キムラタクヤのタクヤ、と。僕は『タクト』です!!」


拓人の叫び声は、もう誰も見えなくなった静かな商店街に木霊した。カズヒロはため息と共に拓人の肩を抱え直す。