「──酒が程よく入ってきた所で、席替えしたいと思いまーす」
中が唐突に手を上げ発言した。
イェ~イという歓声と拍手。
その後着々と席が決まり、男女が混同し、合コンは佳境へと入った。
「よろしくね~」
端に座る拓人の横には茶髪をセミロングに伸ばした女の子が微笑みを携え着席する。
会った第一印象が『合格ライン』に入った子だった。
線のほっそりした身体。守りたくなるシルエット。なんと言っても顔つきが好みだ。
毎日手入れしてるだろう細く薄い眉の下には、驚いた時のような大きな、目尻が少しだけつり上がった瞳。外国人のように高く、それでいて小ぶりの鼻。その下に淡い色のリップをぬられた唇が控えめに主張していた。
『合格ライン』なんてお前はどれだけの立場から見てるんだ、と苦情がありそうだが、一大学生の心情とはこんな下卑た事しか考えていないものだ。

