──…あれ?


寝たまま車に揺られ、運転席と助手席から父親と母親の話す声が聞こえてくるが…

…夢は一向に覚める気配がない。


(…なんでめざめない?なんでけしきがかわらない?なんでずっとこのままなんだ?なんで、なんでなんでなんで…)


そうして着いた場所では、また別の看護師達が僕を病室へと運んでいった。

新しい病室。
僕は転院しただけのようだ。


つまり、まだ夢は"続く"という事。

未だ声も出せない状況なのに、僕はまた頭の中で『これも夢である』と決めつけていた。

…いや、"決めつけていたかっただけ"かも知れない。