ピー


ピー



…規則正しく鳴る電子音。


聴覚を刺激され、ゆっくりと他の五感も目覚める。


しかし、どうも視覚の働きが鈍く、うっすらとしか視界が開けない。


(──…ん…なんのおと…?)


起き上がろうと頭が反応するが、体はベッドに縛り付けられたかのように反応しない。


(…あれ…)


うっすらとしか開けられない目で、周りの風景を伺う。


(ん?いま…なんか…なんだ?)


思考回路がめちゃくちゃだった。頭の中がスプーンでぐちゃぐちゃかき混ぜられたかのように。


(…とりあえず、ねむい…)


ここが、いつもの自分の部屋から見える景色とは異なっていた。
それにより、胸に微かな安堵感が広がる。


(ゆめ、か……)


途中で起きてしまうこともままあるが、二度寝は得意分野だ。


(…あれ?そういえば、なんで…なんだ?わからない……なにをかんがえようと…してたん…)


よく分からない感情が支配してゆくが


(…とにかく、どうでも、いっか…)


頭の中は起きる事を拒否しているかのように鈍行を辿り、ただ睡眠を求めていた。


規則正しい電子音だけが、妙に耳にこびりついていた。