「いらっしゃーい」
「お邪魔します。…の前に、ハイ!」


後ろ手で隠していたケーキを公開すると、由衣は小さく拍手した。
…まぁ、クリスマスにケーキは付き物で、『ケーキ作らなくていいから』と言えば、自然と"買ってくるんだな"と予想できると、形式通り喜ぶ由衣を見て思った。


「さぁさぁ上がって!」


今日の決意からか嬌声に聞こえる由衣の声。

ドアを開けると、少し頑張ったとわかる装飾の施された部屋が拓人を迎えた。


「…頑張ってみようかなって思ったのが今朝だったから、大した飾り付け出来なかったけど…」


一応気持ちだけ、とチロッと舌を出す由衣。


「…いや、十分だよ。ツリーがあるだけで、随分変わるもんだね」


吐き出し窓のそばに、気持ちだけの飾りがある小さなツリーを指差し、言った。


「ありがとう拓人君。とりあえずクリスマス祝お!」


他意のない由衣の笑顔と共にそう言われ、拓人は決意が固まる。促されるまま、コタツに腰を下ろした。