12月24日。クリスマスイブ。

拓人はケーキを片手に、由衣のアパート前にいた。

去年祝えなかったクリスマスを、今年はしっかり祝おうと言う事だった。

就活の時期でもあった去年の年末は遊んでいる暇がないほどだったが、今年になってゆとりができた。
もう卒論も書き終え、就職先(警官は最終で落ちた)も決まった大学生は、あとは卒業までのんべんだらりと過ごすだけだが、拓人は違う。

このクリスマスイブ、拓人は心に決めている事があった。

そろそろ…Aくらいはいいはずだ。
さすがに一年以上の期間も開けば、神様も許してくれるだろう。

…いや、Aだけでいいのか?
B…それを越えてCまで行っちゃうとか!?


…むふふふふふ。


拓人の気持ち悪い笑みは、どうやら散歩中の犬にエネミー発見!と判断されたようで、激しい鳴き声で警戒され、それで我に返った。


すいませーんと頭を下げて去る飼い主に、こちらのほうこそ、とこっそり思う拓人だった。