「こんばんはー宅配便ですー」


こんばんはーと玄関から現れた主婦に小包みを渡し、集荷票にサインを一筆もらい、ありがとうございましたーと一礼して、その場を退去した。

──今、拓人は新しく配達業のバイトをしていた。
人と接する時間が少ないこのバイトは、元来がビビりの拓人にはうってつけのバイトだったようで、もう少しで初めてから半年が経つ。

社員の人達も良い人ばかりで、懇切丁寧に仕事を教えてくれた事もあり、1ヶ月経つ頃にはもうバイトの雰囲気に慣れていた。

12月に入り、配達業の繁忙期が迫ってきていて、なんとなく会社の雰囲気が慌ただしく感じるこの時期、拓人は温い缶コーヒーで体を温めていた。


「──サッキー!ちょっと大きい荷物あるし、降ろすの手伝ってくれる?」


事務所で座っていると、社員の人から声がかかった。


「あ、はい!今いきまーす!」


パイプ椅子から立ち上がり、そばにあったゴミ箱に空の缶コーヒーを投げ入れた。

サッキーはこの職場で呼ばれている拓人のあだ名だ。さかきばら、は長いので省略したらしい。サッチーみたいで初めは抵抗あったが今では慣れてしまっている。