「…それより由衣、なんだよ、なんか病気でも抱えてるの?」


不安をぶつけてみるが、由衣は顔色を変える事なく、平然と答えた。


「なんで?」
「だってそんな質問…おかしいでしょ。なんかあるんじゃないの?」


再び立ち止まる由衣。
深刻そうな表情で、俯く。
聞きたくない独白が始まる…そんな予感がした。


「……実は…」


ゴクリと喉が鳴る。


「…ドライアイに悩んでて…」


…予感は外れた。


「先進国が悩む現代の病気の中の一つ…ってアホか!」


予感が外れたのは嬉しい事。
それから続けた言葉は安心からかふざけたものだった。
…が、拓人の中に しこり が残っていたのを、その時の拓人は気付いてなかった。


「っあはははは!ふと気になっただけだよ!気にしないで」


笑いながらまた歩き出す由衣。
一抹の不安は直ぐ様影を潜め、その時の拓人は笑う由衣の後ろを同じように笑いながら付いていくだけだった。