しばらくした後、由衣は観念したかのように聞いてきた。
「…やめる?」
どういう生き方が幸で、どういう生き方が不幸なのか…
幸か不幸か感じるのは本人次第。
突き詰めれば、その答えは結局不明瞭だ。
"幸せの解答"なんて、存在しないんじゃないか。拓人はそう思う。
「うん。考えれば考えるほど、マイナスの想像が出て来てしまうような気がするから…あまり物事に執着しないようにする。まぁこれはつまり楽天的に生きるって事なのかもね」
拓人の発言に考える顔付きを継続させた由衣だが、それも一瞬だった。
そして、ふっと満足気なため息と共に言った。
「…プラス思考なんだね」
その言葉には安堵感からくるものがあったが、拓人は急に湧いてきた恥ずかしさを隠すようにふざけて言う。
「──あ、いまのは"アホなんだね"を褒め言葉に言い換えただけの響きがあった!」
「あはははは!そんな考え方が人生楽しめていいよ!うん!」
拓人に笑いかけ、歩き出す由衣。
その姿には、心に引っ掛かっていたものがほどけたような、そんな様子があった。
…が、そこで湧き上がった疑問。実は話し始めた当初から感じていた疑問を、由衣の姿を追いつつ向けてみた。

