結局、旅行はアリにバレ、頑なに拒否され、無くなってしまったらしい。
やっぱり、全て彼女のお金、というのが、アリには我慢できないのだろう。
意気消沈するエリナのメッセージを見て、改めてアリの人間性を伺い知った。
ケータイを手に目を閉じ、もしそういう状況になったらと仮定して、アリになりきってみた。
──(彼女のお金で)ついた旅行先。場所はグアム。燦々と照りつける太陽。荘厳なる山々。どこまでも青く透き通った海。
(彼女のお金で)昼食をすぐに食べ終え、一足先に砂浜へダイブ!日本の砂浜とは違う、細かい粒子が素直に足に絡んでくる。
夜になれば、満天の星空の下(彼女のお金で)泊まったホテルのバルコニーで(彼女のお金で買った)ワインのグラスを傾けながら、ハンモックで就寝。
帰路の際、その場で仲良くなった地元の子供たちに手を振りながら(彼女のお金で)セスナに乗って、込み上げてくる涙を抑えながら……──
…うん、無理だ。
素直に旅行を楽しめる訳がない。
今回した妄想に後悔しながら、それと共に訪れた眠気に身を任せ、普通のベッドで就寝した。

