わかってるんだ。

『震えがきてしまうから』なんてのは逃げてるだけ。

例え震えがこようとも、他人から奇異の視線を浴びようとも、それも"慣れ"だ、と。

どんなに奇妙な動きで周りの視線を集めても、それを耐えて繰り返す事でそれにも慣れ、震えも治まってくるかも知れない。

人間は誰だって初めての所は緊張する。僕の場合はハードルが一段高いだけで、最初に慣れてしまえば、後はきっとラクだ。


そんな心の"綺麗事"に諭される僕だが、それでも花火を見に行かないのには理由があった。


"僕には一緒に見に行ってくれる人がいるから"


そう思う事で、花火を見に行く人々と同等のラインに立ってる気がしてた。

以前水上花火を一緒に見た、というフィルター越しの記憶が、僕の中で"曖昧な"自信に繋がっていた。

病気が理由で行かないというのももちろんある。だが、それより大きかったのはプライド。

自分には一緒に花火を見に行く彼女がいるんだ、という負け惜しみにも似た自信は、僕の内心を安定させ、日々の生活に支障を来さないようにしていた。