「──じゃー皆さん揃った所で、乾杯の合図を…なっちにお願いしたいと思います!」
司会のたっちゃんが、存在しないマイクを渡すように、なっちに場を譲る。
なっちはコホンと大袈裟にせきを一つして、立ち上がり、話し出した。
「──え~皆さん、お集まり頂き、誠にありがとうございます」
頭を下げるなっちの仰々しい挨拶に、皆辟易しながらも拍手を送った。
「こんなに集まってもらえるなんて、私、予想だにしてませんでした。感謝してます、謝々」
失笑が起こる。
確かになっちは中国に半年留学していたので今の言葉は頷ける。
けどどーでもいーわ。
「皆さん今日は楽しみましょう!ガンペイ!!」
意味が分からないまま、なっちが紙のコップを掲げたので、皆もとりあえず同じように掲げ、乾杯した。
幾数もの紙のコップが頭上で高々と乾杯をかわす。
拓人の大学生活最後の夏のイベントは、こうして始まった。

