水上で描かれる半円の火花は、とても優雅に映り、見ている観客を魅了した。

拓人の横でも、花火が快音と共に開くと、小さく拍手する由衣の姿が目に入る。

水上花火は、普通見上げる打ち上げ花火と違い、視線が通常と同じ高さなので、暗い中に時々光る由衣の顔色を、気付かれないように伺う余裕ができていた。


…あの"お疲れ会"から一週間後、拓人は由衣と花火大会に来ていた。

そんなに大きな花火大会ではないので、静かに上がる花火を密やかに見るだけだろうな、と思っていたら、予想外に観客が多かった。


…だが、今はその多い観客に少し感謝していた。

自分の、隠したい気持ちがあるこの間の出来事は、観客の多さによって、ごちゃごちゃ混ざってわからなくなるような、そんな卑しい気持ちがあった。

──バレなきゃいいんだ。
そんな気持ちが少なからずあった。


「──あたし水上花火って初めて見るよ!綺麗だね~」


うん…と、おそらく由衣には聞こえないほど小さな声は、拓人のその時の良心の呵責のようなものが影響していたんだろう。