耳につく喧騒が、不快感を煽る。

今や目に入るもの全てが、怒りの矛先を向ける対象となっていた。

…が


「なんでお酒飲まないの~?」


女の子がそう言って近寄ってくると、直ぐ様骨抜きにされる拓人。


「…あ、あぁ…今まで飲んでたから、ちょっと酔っ払って…」


かわす。
のらりくらりとかわす拓人は、"草舟"の精神が発揮されたと思った。


「何シケた面してんだよ?今日は試験だったんだから盛大に祝おうって話してたじゃねぇか!ホラ、飲め飲め!」


最も怒りの対象となる人物が、グラス片手に拓人の肩を組んでくる。

拓人は身をよじらせて組まれた腕をほどくと、小声で中に聞いた。


「…どういう事だよ中!今日は男だけで飲むんじゃなかったのか!」


憎々しげに見つめる拓人を、あしらうように中は言った。