自分の記憶への薄らいだ自信。

僕は、あの大学生活は本当に楽しかった記憶しかない。"楽しかった"記憶で彩られた僕の過去は、自己満足の域から出ようともしなかった。

だが、最近ではその記憶の細部に渡るまで確信がもてるのかと、今一度問われれば、首肯できる自信が失われていた。自分で築いた壁に、綻びが見え始めた。


この間、久々に友達が来てくれ、話し合っていた時の事だ。


「──でも大分治ったな、チュー」


たっちゃん、りゅーじが町吉を連れて、僕を見に来てくれたのだ。
町吉は入院中に会って以来だったから、約三年ぶりだ。


「ぞ ん な ご と な い よ」


町吉の笑いながらの一声が懐かしかった。学生時代に戻ったかのようだった。

僕と会えば後退する事は決まっているかのように、またアルバムを取り出す。

大学時代の思い出の詰まった卒業アルバムは、何度見ても新たな発見があるようで楽しめた。


そんな時、町吉が笑いながら言った。