──例えばリハビリの最中だったり、ご飯を食べている時だったり──
この頃の僕の活動範囲は本当に狭かった。生活の履歴のほとんどが、リハビリ。誰とも話さず黙々リハビリをこなす僕への印象は、やっぱり"真面目"だったんだろう。
マジメ君だ。他人との関わり合いを避ける僕への、唯一の"褒め言葉"と取れる評価。
本当は侮蔑も含む色んな評価があったろう。いや、評価すらされてない"空気"か。穿った見方かも知れないが、どんな見方をされていたとしても、僕は平気だった。
──なぜなら、僕には"あの子"がいたから。
どんな事があっても、"あの子"が防波堤となってくれる事で、僕が勝手に受けとる"侮蔑"という名の賛辞は極小さな物へと変わっていた。
"あの子"がいたお陰で、僕は自分を保っていられた。
僕の中には、まるで寄り添うようにリハビリを見てくれ、ご飯を食べている所も見てくれている、"あの子"の姿があった。

